▼「 教師不足 」で崩壊する学校。激務による離脱者が続出、副校長が担任を兼務することも
■「教師不足」で崩壊する学校。激務による離脱者が続出、副校長が担任を兼務すること
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2023年05月15日
「教師不足」で崩壊する学校。激務による離脱者が続出、副校長が担任を兼務することも
週刊SPA!編集部
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教育現場も、日本のヤバさを象徴する場と化している。教師の数が不足し新学期が始まっても担任がいない、やむなく別の教科の教師が授業を担当するなどの事態が続出しているのだ。
■ 教師が足りず授業不可能。激務による離脱者も続出
文部科学省が’22年4月、「『教師不足』に関する実態調査」を行い、小中高および特別支援学級で不足している教員数は’21年度始業日時点で合計2558人に上ることが明らかになった。
これは産休や病休などによる正規教員の欠員を埋めたり、特別支援学級の増加に伴う臨時的任用教員(臨任)などを対象とするもので、4月の時点で教員が1人以上不足している地域が75%になる計算だ。
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なかには、「始業式の時点で約100人足りていない」(教育関係者)という地域もある。一体、学校で何が起きているのか。現場の声を聞いてみた。
副校長など役職つきの教員が担任を兼務することも
某県の中学校に勤めるAさん(41歳)はこう話す。
「休職した先生の代わりになる臨任がおらず、新学期になっても担任をつけられない状態。仕方ないので教務主任、学年主任、副校長など役職つきの教員が担任を兼務することもある」(同)
とも。こうした状況は、教育の質にも少なからず影響するようだ。
「うちの小学校では算数の授業を少人数指導で行っていましたが、今年は講師が来ずクラス分けができなくなった。そうなると、学習効果が全く違ってきてしまいます。きめ細かい指導ができなくなり、理解度の低い子が置いてけぼりになってしまうのです」(教員Bさん・38歳)
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■ 部活動の負担や保護者の理不尽な仕打ちによる退職や休職も続出
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部活動などの過重労働や経済的負担による退職も後を絶たない。公立中学でサッカー部顧問をするCさんは語る。
「部活はボランティアに近く、持ち出しも増える。生徒の送り迎えをすることもあるのでファミリータイプのワンボックスカーは必須で、それだけで500万〜600万円はかかります」
保護者からの理不尽な仕打ちにも耐えなければならない。
「授業を抜け出してタバコを吸っていた生徒を叱ると、親から『お前の授業がつまらんからや』とクレームがくる」(Dさん・中学校勤務・42歳)
こうしたストレスによる退職や休職も珍しくなく、「うつ病で休職した先生がいたのですが、その人は異動が決まっていたので実質的に学区内で2人不足する事態に」(Fさん・中学校勤務・50歳)という声も。
教師不足のなか休みを取ることは至難の業で、高校教員のGさん(34歳)は「育休を取ると伝えたら、校長に『後任が見つかるかねえ?』と嫌味を言われました」と話す。
下がる教員採用試験倍率。採用方法に問題も
このような状況下で教師志望者も不足しており、それは教員採用試験の受験状況にも表れている。試験の倍率は’00年度の13.3倍をピークに下がり続け、’21年度実施分は小中高含めた全体で3.7倍と、1991年度と同率で過去最低となった。
教員免許更新制度もネックとなっている。免許取得10年後に更新講習を受けないと免許が更新されず、講習は現役教員しか受講できなかった。’22年7月には解消されたが、現状は変わっていない。各自治体は臨時免許を発行して人材の確保に努めているが……。
「よほど人材不足なのか、ひどい人が採用されてきます。気に食わないとすぐに校長や現場の教師にわめき散らしたり、社会人経験を振りかざして独裁者みたく振る舞うような……当然、保護者からもクレームが来るので仕事が増える」(Hさん・中学校勤務・33歳)
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■ 採用方法にも問題があるという指摘も
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採用方法にも問題があるという指摘もある。
「音楽の先生が介護休暇を取るため非常勤講師を県の教育委員会に要請しましたが、名簿が来ない。催促しても『人事の問題はセンシティブなため』の一点張り。新学期が始まってしまうので、こちらで何とか見つけると、その人は採用されず。情報共有がなぜなされないのか疑問ですね」(Iさん・中学校勤務・43歳)
「採用は、臨任教員や講師が可能な人の名簿を教育委員会から渡され電話やメールをしまくるというアナログな手法で行いますが名簿がアップデートされておらず、なかには対象外の人も。ようやく昨年、休職期間を入力するとマッチングするシステムができたというので申請したのですが、なしのつぶてで、新学期が始まってから『採用の進捗はいかがでしょうか?』というメールが……結局、中の人が人力で割り振っているんでしょうね。デジタル化するだけで教師不足の大部分が解決するのではないかと思いますよ」(Jさん・小学校勤務・50歳)
日本の未来を担う教育現場の崩壊を免れる策はあるのか。
教育の分業化と中長期的な教員増加策が急務
かのように深刻な教師不足問題。
教育研究家の妹尾昌俊氏は、その要因と対応策について、需要と供給の両方に分けて考える必要があると話す。
「少子化に伴い普通学級の教員需要は減っているが、『特別支援』のニーズが急増しており、教師不足に拍車をかけています。さまざまな障害の種別に応じて8人あたり1クラス作らなければならないため、通常学級よりもたくさんの教師が必要になる。
また、教師の年齢構成は地域によって差がある。都市部だと定年退職者は以前より少なめだが、そのぶん教師の年齢層が若いので産休・育休を取る人が増えている。そうした事情に対して供給が間に合っていないのです」
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■ 昨今の学校は「カリキュラム過多」
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教師の役割の肥大化が忌避され、教員志願者が減少しているのは先述のとおり。
「昨今の学校はカリキュラム過多の『欲張りな学校』と化している。小学校高学年になるとほぼ毎日6時間目まである状態。そして教師には従来の学習指導に加えて小学校英語やプログラミング教育、補習、部活、いじめ問題など学校トラブルへの対処に加え事務作業などが課せられる」
そして倍率が落ちたため、これまで講師だった人が正規職として採用されやすくなり代替要員が減っているのも一因だ。
教師不足を解決する方策は?
そんななかで、教師不足を解決する方策はあるのか?
「まずは教員志願者にアプローチするのが一つ。そして病気休職やうつを減らしていくことが二つめ。ここに関係するのが教師の労働環境の抜本的な改革です」
そのためには学校が担うべき業務と、必ずしも担う必要のない業務、負担軽減が可能な業務の仕分けが必須だ。
「教師のタスク減少に取り組み、数年かけて中長期に教員数を増やすとともに、教員以外のスタッフを常勤職にすることが急務となるでしょう」
文部科学省には、ぜひとも計画的な対応策を求めたい。
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【妹尾昌俊氏】
一般社団法人ライフ&ワーク代表理事。全国各地の教育現場でアドバイザーなどを務める。著書に『教師崩壊』(PHP新書)など
取材・文/SPA!教育危険地帯取材班
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